【仮面の騎士王】
「マノン、準備ができたわ。手伝ってちょうだい」
 

 マノンは何か言いかけたが、ケイトリンの声に立ち上がると、沸かした湯をたらいに入れ始めた。


 ケイトリンは乾いた布を湯に浸し、手早く絞っている。当然のように、レイフの体を清めるつもりでいた。寝台に跪き、レイフの体に触れようと手をのばした。


「待て、お嬢さん」


 突然、レイフに腕を掴まれて、ケイトリンの心臓がドクンと音を立てる。


「なんです?」


「ここまででいい。あとは、自分でやる」


「でも」


「いいからやめておけ。俺なんかの肌に触れない方がいい。まぁ、男の肌に触れてみたいっていうのなら、止めはしないがな」


レイフは口の端を持ち上げて、にやりと笑う。


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