【仮面の騎士王】
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舞踏会用の大広間に入ってきた可憐な少女を一目見て、その場にいた人々はほぉと感嘆のため息をついた。
太陽のように輝かかしい金色の髪の毛は青色のリボンとともにゆったりと編み込まれ、後ろ髪が華奢な首筋にかかっている。髪のあちこちに飾られている白やピンクの小花を模した髪飾りは、青いドレスの胸元にある花飾りとお揃いで、ケイトリンの白い肌に良く似合っていた。
「みな、私とあなたに見とれているようだよ」
ケイトリンと腕を組んで並んでいるファビアンは、にきび面を彼女に近付けると小声でささやいた。
「そう、ですね。きっと、ファビアン王太子様の凛々しいお姿に惹きつけられているのでしょう。でも、私、こんな大勢の前に出るのは初めてで、どうすれば良いのか・・」
ケイトリンは、想像以上に大勢の視線が自分たちに注がれているのを見て、緊張に体を固くする。
「あははは。何も心配することはない。あなたの美しさを見て、みな思うよ。この僕にふさわしい花嫁だとね」
ファビアンは栗色の前髪を撫でつけて顎を上げると、満足げに辺りを見回した。