【仮面の騎士王】
頭ではそう冷静に考えながら、しかし、初めて会ったこの男への興味が、ケイトリンの好奇心をかきたてた。声の様子からすると若い男で、言葉遣いからは上流階級の人間の様だった。
「あの。それで、あなたはいったい・・」
ケイトリンが、男の素性を尋ねおわる前に、部屋の扉が叩かれた。
「ケイト様! ご無事でいらっしゃいますか? 雷が鳴る前に来られなくて申し訳ございません。失礼いたしますよ」
マノンは右手に燭台を持ち、扉をくぐった。ケイトリンの向こう側にいる人影に気付くと「ひっ!」と息を吸いながら声を出した。一瞬驚いて見せたが、それが男だとわかると、すぐに気を取り直して叫んだ。
「お前! ここをどなたの部屋だと思っているのです! このミルド国の執政官長ロッソ様のお嬢様のお部屋ですよ! すぐにお嬢様から離れなさい!! さもないと!」
マノンは、もともと肝が据わっている女性であった。しかも、侍女の中では最年長であり、経験が豊富で、ちょっとやそっとのことで動じるような女性ではなかった。
普通なら悲鳴を上げるか、助けを求めるかするだろう場面で、マノンは主であるケイトリンを守ろうと、男を威嚇した。
「さもないと? あなたが俺を殴り倒すのかな?」
男はマノンの言葉尻をとらえて、くすりと声を出して笑った。
「ケイト様! すぐに人を呼んでお助けいたします! もう少し辛抱なさってください」
マノンは眉間にしわを寄せると、男を睨みつけた。
「あの。それで、あなたはいったい・・」
ケイトリンが、男の素性を尋ねおわる前に、部屋の扉が叩かれた。
「ケイト様! ご無事でいらっしゃいますか? 雷が鳴る前に来られなくて申し訳ございません。失礼いたしますよ」
マノンは右手に燭台を持ち、扉をくぐった。ケイトリンの向こう側にいる人影に気付くと「ひっ!」と息を吸いながら声を出した。一瞬驚いて見せたが、それが男だとわかると、すぐに気を取り直して叫んだ。
「お前! ここをどなたの部屋だと思っているのです! このミルド国の執政官長ロッソ様のお嬢様のお部屋ですよ! すぐにお嬢様から離れなさい!! さもないと!」
マノンは、もともと肝が据わっている女性であった。しかも、侍女の中では最年長であり、経験が豊富で、ちょっとやそっとのことで動じるような女性ではなかった。
普通なら悲鳴を上げるか、助けを求めるかするだろう場面で、マノンは主であるケイトリンを守ろうと、男を威嚇した。
「さもないと? あなたが俺を殴り倒すのかな?」
男はマノンの言葉尻をとらえて、くすりと声を出して笑った。
「ケイト様! すぐに人を呼んでお助けいたします! もう少し辛抱なさってください」
マノンは眉間にしわを寄せると、男を睨みつけた。