【仮面の騎士王】
(どうしよう、ここはどこかしら。確かにこちらに走って行ったような気がしたのだけれど)
少女を追いかけてやみくもに走り回った結果、ケイトリンは人気のない狭い路地に迷い込んだ。全力で走ったのは子どもの頃以来だ。ケイトリンは建物の外壁にもたれて息を整えようと試みる。
その時、一人の若い男がケイトリンの背後から話しかけてきた。
「よお、お嬢ちゃん。どうかしたかい?」
男の右手には酒瓶が握られている。赤ら顔の口から吐き出された酒の臭いはあまりに強く、目に見えるのではないかと思うくらいだ。
「あの、子どもを捜しているんです。5、6歳の少女で、髪の毛は金色で、肩よりも長くて。瞳の色は明るい茶色で。確か、白っぽい服を着ていて。これくらいの青いペンダントを持っているはずなんですけど・・」
ケイトリンは、指で円を作ってみせ、ペンダントの大きさを示した。
「あ~、それなら見たぞ。確かにそんなペンダントを持っていたな」
「本当ですか!」
「あ~、ほんとだとも。間違いない。俺についてきな」
男は頭から足の先までケイトリンをなめるように見てにたりと笑うと、千鳥足で歩き始めた。
ケイトリンは、後を追おうとして、逡巡した。男が向かったのは、今よりもさらに奥まった細い道で、どう見ても馬車が入れる道ではない。おまけに建物の陰になっているせいで、薄暗い。男はケイトリンが立ち止まっているのに気付いて、振り返った。
少女を追いかけてやみくもに走り回った結果、ケイトリンは人気のない狭い路地に迷い込んだ。全力で走ったのは子どもの頃以来だ。ケイトリンは建物の外壁にもたれて息を整えようと試みる。
その時、一人の若い男がケイトリンの背後から話しかけてきた。
「よお、お嬢ちゃん。どうかしたかい?」
男の右手には酒瓶が握られている。赤ら顔の口から吐き出された酒の臭いはあまりに強く、目に見えるのではないかと思うくらいだ。
「あの、子どもを捜しているんです。5、6歳の少女で、髪の毛は金色で、肩よりも長くて。瞳の色は明るい茶色で。確か、白っぽい服を着ていて。これくらいの青いペンダントを持っているはずなんですけど・・」
ケイトリンは、指で円を作ってみせ、ペンダントの大きさを示した。
「あ~、それなら見たぞ。確かにそんなペンダントを持っていたな」
「本当ですか!」
「あ~、ほんとだとも。間違いない。俺についてきな」
男は頭から足の先までケイトリンをなめるように見てにたりと笑うと、千鳥足で歩き始めた。
ケイトリンは、後を追おうとして、逡巡した。男が向かったのは、今よりもさらに奥まった細い道で、どう見ても馬車が入れる道ではない。おまけに建物の陰になっているせいで、薄暗い。男はケイトリンが立ち止まっているのに気付いて、振り返った。