【仮面の騎士王】
「あのペンダントは、母の形見で差し上げたわけではありません。第一、恵むと言われても、私、何も持っていません」
「何言ってやがる。そんな上等のドレスをお召しじゃないか」
「え!? それなら、ペンダントを見つけた後で、お礼に屋敷から新しい服をお持ちします」
男は少々面食らったように顔を歪めたが、すぐに気を取り直して、ケイトリンに一歩近づいた。
「まったく、あんた本物のお嬢さんだな。今から身ぐるみはがされようってのに、何を言ってるんだか」
ケイトリンは男の言葉にぞっとして、両手を胸の高さで交差すると思わず自分の両肩を抱き寄せた。
「私、お金は持っていません。でも、ペンダントを探してくだされば、お礼を差し上げることはできます」
「な~に、金なんぞなくても心配はいらないさ。ドレスと一緒に中身もいただいてやるからよ!」
男は、言うが早いか、ケイトリンに飛び掛かった。悲鳴を上げる間もなく、ケイトリンは地面に押し倒される。
背中と後頭部が地面に打ち付けられ、痛みで朦朧となる意識をなんとか保ちながら、ケイトリンは必死に手足をばたつかせた。
「だ、誰か、ううっ」
男の手の平がケイトリンの口元を覆うと、酒の匂いが鼻をついた。
男の血走った眼が自分を見下ろしているのを感じ、ケイトリンは恐ろしい結末を予感して、ギュッと目を閉じた。
(誰か、助けて!)
「何言ってやがる。そんな上等のドレスをお召しじゃないか」
「え!? それなら、ペンダントを見つけた後で、お礼に屋敷から新しい服をお持ちします」
男は少々面食らったように顔を歪めたが、すぐに気を取り直して、ケイトリンに一歩近づいた。
「まったく、あんた本物のお嬢さんだな。今から身ぐるみはがされようってのに、何を言ってるんだか」
ケイトリンは男の言葉にぞっとして、両手を胸の高さで交差すると思わず自分の両肩を抱き寄せた。
「私、お金は持っていません。でも、ペンダントを探してくだされば、お礼を差し上げることはできます」
「な~に、金なんぞなくても心配はいらないさ。ドレスと一緒に中身もいただいてやるからよ!」
男は、言うが早いか、ケイトリンに飛び掛かった。悲鳴を上げる間もなく、ケイトリンは地面に押し倒される。
背中と後頭部が地面に打ち付けられ、痛みで朦朧となる意識をなんとか保ちながら、ケイトリンは必死に手足をばたつかせた。
「だ、誰か、ううっ」
男の手の平がケイトリンの口元を覆うと、酒の匂いが鼻をついた。
男の血走った眼が自分を見下ろしているのを感じ、ケイトリンは恐ろしい結末を予感して、ギュッと目を閉じた。
(誰か、助けて!)