【仮面の騎士王】
――まずは、着替えようか。そして、街を歩きながらよく観察してごらん。
ケイトリンは、ギースとともに、古着屋の一角で着替えた。新しいドレスの試着ではなく、町娘に扮するためだ。そうしないと裏通りを歩くのは危険だと、ギースが提案した。
たとえ、襤褸をまとったところで、危険なことに変わりはないとマノンは反対したが、ケイトリンがぜひにと希望したため、またしてもマノンだけがカフェで待ちぼうけを食らうことになった。
豪華な衣装やさまざまな宝飾品で着飾った人々でにぎわっている大通りと違い、ほんの少し路地を入っただけで、瞬く間にあたりが閑散とする。しかも、壁にもたれかかるようにして座り込んでいる人や、地面に横になっている人が少なからずいることに、ケイトリンは驚きを隠しきれなかった。
ギースは、パン屋によると大量にパンを買い、その半分をケイトリンに持たせ、再び歩き始めた。
「お兄様、どこへ行くのですか?」
「少し歩く」とギースは言っていたが、彼の歩き方からすると、どうやら目的地があるようだった。
――ほら、ここだよ。
ギースが指さしたのは、一見、高い尖塔アーチと掲げられた十字架が立派な建物だったが、近づくと壁が剥がれ薄汚れた、歴史だけはありそうな古びた教会だった。ギースは、慣れた様子で門をくぐる。ケイトリンは、不思議に思いながら彼の後をついて歩いた。
「あ、ギースだ!」
ギースを見ると、敷地で遊んでいた子供たちが、駆けてくる。あっという間にケイトリンたちは子どもに囲まれた。
――さあ、子どもたちにパンを配って。
「この子たちのために、パンを買われたのですね?」
ケイトリンは、ギースとともに、古着屋の一角で着替えた。新しいドレスの試着ではなく、町娘に扮するためだ。そうしないと裏通りを歩くのは危険だと、ギースが提案した。
たとえ、襤褸をまとったところで、危険なことに変わりはないとマノンは反対したが、ケイトリンがぜひにと希望したため、またしてもマノンだけがカフェで待ちぼうけを食らうことになった。
豪華な衣装やさまざまな宝飾品で着飾った人々でにぎわっている大通りと違い、ほんの少し路地を入っただけで、瞬く間にあたりが閑散とする。しかも、壁にもたれかかるようにして座り込んでいる人や、地面に横になっている人が少なからずいることに、ケイトリンは驚きを隠しきれなかった。
ギースは、パン屋によると大量にパンを買い、その半分をケイトリンに持たせ、再び歩き始めた。
「お兄様、どこへ行くのですか?」
「少し歩く」とギースは言っていたが、彼の歩き方からすると、どうやら目的地があるようだった。
――ほら、ここだよ。
ギースが指さしたのは、一見、高い尖塔アーチと掲げられた十字架が立派な建物だったが、近づくと壁が剥がれ薄汚れた、歴史だけはありそうな古びた教会だった。ギースは、慣れた様子で門をくぐる。ケイトリンは、不思議に思いながら彼の後をついて歩いた。
「あ、ギースだ!」
ギースを見ると、敷地で遊んでいた子供たちが、駆けてくる。あっという間にケイトリンたちは子どもに囲まれた。
――さあ、子どもたちにパンを配って。
「この子たちのために、パンを買われたのですね?」