MAYBE TOMORROW
第一章 MAYBE TOMORROW
わたしはその彼(ひと)のことをずっとお兄ちゃんと呼んでいた。といってもホントにそう呼んだことはいちどもない。
生涯を通してだ。ザンネンだけど。
わたしが勝手に心の中でそう呼んでいただけのことなのだ。そしてもちろんのこと、本当の兄ではない。
血のつながったホンモノの兄は別にちゃんといる。でもそっちは「オニイチャン」であって「お兄ちゃん」ではないのだ。