MAYBE TOMORROW
第二章 ナディア・コマネチ
あの日があって以来、わたしの心はすっかりお兄ちゃんで満ち溢れてしまった。
それはまるで漆黒の夜空が瞬く間に無数のきらきらと輝く星々で
うめつくされてしまったようでもあり、あるいは地球上のすべての陸地が
満々と溢れる海の水で覆われてしまったようでもあった。
それまでの孤独で無為で、取り立てて何の取柄もなくただただ惰性で生きてきた
わたしに生きる力と生きる理由を与えてくれたのがお兄ちゃんだったのだ。