時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~
『……あの』
廊下を進んでいた一花は、前を歩く沖田に話しかけた。
「なに??」
『この近くに、人間は一人も居ないんでしょうか』
もしかしたら、自分と同じ境遇の人間が、近くにいるのではないだろうか。ならば、是非お近づきになりたい。
「……残念だけど聞いた事ないよ。人間だってバレない方が生きやすいからね。人間だって、おおっぴらに言わないんじゃない」
『人間を食べちゃう妖怪がいるからですか??』
「そうだね。……実を言うと、僕も好きなんだよね――――人間の肉」
ニヤッと不気味な笑みを浮かべた沖田に、ゾクリッと背筋が凍った。
冗談だよね??
『冗談ですよね??』
「自分で判断したら??」
逃げようとするが、すぐに捕まり。ドンッと壁へ押さえつけられた。
壁ドンだぁ!!なんて嬉々する状況でもない。一花は、違う意味のドキドキ感のなか、逃げる方法を考えた。