時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~



逃げながら、恐る恐る振り返る。得体の知れないモノは、異常なスピードで追いかけてきていた。


このままですぐ、追いつかれる。


焦りと恐怖から、全速で動く足が徐々にもつれ始める。


『アッ!!』


普段ならつまずく事の無い、小石に足を取られ盛大に転んだ。


ツーッと膝から血がにじむ。


「……チィ……」


追いついてきた得体の知れないモノは、一花の出血にすぐに気づき、口元に笑みを浮かべた。


あぁ、もうダメだ。


もう逃げる事はできない。心も全速力を出した脚も、鉛の様。動く事が出来ない。


食べられてしまうのだろうか。どうせなら、痛くない方がいいな。


ハハッと渇いた笑みを浮かべ、目を閉じた。


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