時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~
恐怖の所為か、時間が長く感じる。一花は半泣きになりながら、心の中で叫んだ。
もう、いいから!!一思いに!!!!
長い恐怖の時間とは、耐え難いものだ。震えが止まるはずも無く、カタカタと体が揺れる。
「……グァァッ!!!!」
長い恐怖の時間に終止符を打ったのは、痛みではなく誰かの断末魔だった。
ゆっくりと、目を開ける。煌々と輝く月明かりに照らされ、彼はニッコリと笑った。
「よかった、間に合ったみたいだね」
『お、きたさん??』
本物??と疑いながら声をかける。少し前に見た彼とは違い、目は紅色にひかり、額には鋭い角が二本はえていた。
本人の面影がどこと無くあるにせよ、今の彼はまったくの別人のようだ。
「よく頑張ったね」
相手を安心させるような優しい笑みに、緊張が解け泣きそうになる。しかし、グッと一花はこらえた。