時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~
スタスタと音も無く廊下を歩いていた沖田は、微かに聞こえる泣き声に足を止めた。
平気なはずが無い。
「……安心できる場所が無い子が、平気なわけない」
ボソリと沖田は一人呟くと、泣き声のする部屋の前の縁側に腰をかけた。
柱に体を預け、目を閉じ、時が流れるのを感じながら、泣き声に耳を傾ける。
しばらくすると、泣き声が聞こえなくなり、耳を済ませていた沖田は閉じた目を開いた。音を立てぬように立ち上がり、襖を静かに開けた。
部屋の中では、疲れたように眠る一花がいた。布団に入らず、蹲る様に眠っている。
「風邪引くでしょ」
はぁーっとため息を吐いた。部屋へ入ると、一花を抱き上げ布団の中に寝かせた。
乱れた前髪を整えるように撫でる。
「……僕、らくしない」
人間に興味なんてない。なのに何故、彼女の事は気になるのか。自分でも不思議でならない。
「まぁ、とりあえず。……ゆっくり休みなよ」
眠る一花の頭を一撫ですると、沖田は静かに部屋をでた。