時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~
「アハハ、ちょっとした冗談だよ冗談」
「いいですか朝比奈君。あぁいう輩が居るので、袖を肩までまくってはいけないんですよ」
沖田をまるっと無視して、山崎は一花の肩に触れた。
山崎さんの言うあぁいう輩とは沖田さんの事だろう。うん、とりあえず腕は極力まくらない。
「酷い言われようだね」
『沖田さんなんで他人事なんですか』
「なんでだろうね」
「……はぁ、とりあえず。皆さんお腹を空かせてるでしょうから、早く作り上げましょう」
頭に手を置いてため息を吐いた山崎は、手を動かし始めた。
その後姿はまさに、お母さん。
『新撰組の母ですね』
ボソリと呟いた声は、二人に聞こえたようで沖田はブハッと噴出し、山崎はギギギッと効果音がつきそうなほど、ぎこちなく振り返った。