政宗かぶれの正志くん
比較的早く届いた2杯目のビールジョッキを手に、目の前の男3人組に目をやる。


雪乃や晴香のテンションがやや高いということは、狙っている男がいるのか、スペックがいいのか、どちらかだろう。


眼鏡3人衆と、ひとまとめにくくってしまったけれど、よくよく見れば眼鏡もオシャレでそれぞれ違う形や色の物を着用しているし、服装や髪型も気を配られていて、そこそこのイケメンさんたちだ。


名前についてイライラ考えていたせいで自己紹介をすっかり聞きそびれてしまい、今さらまた名前を聞くのも悪いし、聞いても覚えられないから、左から順に「A」「B」「C」と心の中で呼ばせていただこうと思う。


「A」は私の向かいに座っている。


が、視線は晴香へ一直線。


気づいてもらえるといいね、A。


「B」は晴香と話しつつ雪乃や私にも視線を向けたり、会話を振ったりしている。


ただ、私への声かけが敬語だ。


何か、ごめん。


「C」は雪乃に話しかけられていて、それににこやかに答えるものの、時折ふと真顔になり、斜め上に視線を泳がせている。


何か考え事でもしているのだろうか。


たまに私と目が合うと、律儀に会釈してくれる。


が、そこにAのような恋情は明らかに含まれていない。


別に望んでも求めてもいないけれど、この合コンでの私の収穫はなさそうだ。


むしろ、バイト休んだから金銭的にマイナス。


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