政宗かぶれの正志くん
似ている様で全く似ていないその名前で自信満々なその脳が羨ましいわ、逆に。
そんな私の冷ややかな視線をもろともせず、いろいろ残念で、いろいろ可哀想な伊達さん改め伊藤正志(敬称略)はペラペラと自分の今について話し続け、満足したのか帰宅を提案した。
店を出ると、待っていたのは現代版後藤黒と言って譲らない、黒光りバイク。
そして、黒光りヘルメット。
明るい所でそれを見たのは初めてだ。
よく見れば、後頭部の辺りに何か筋が描かれている。
「これ、何?」
そう指を指すと「たてがみを描いてある」とのこと。
よく見れば、側面に、何やら耳らしき物も描いてある。
私は思いついたことを、親切に告げてやることにした。
「ヘルメット、馬の頭にしたの?ってことは、アンタも馬の一部じゃん」
キョトンとした彼の目が、数秒後、見開かれる。
気づいていなかったんだろうな。
伊達政宗を気取るなら、そのヘルメットは兜を模倣しなければいけないことに。
「じゃあね、後藤黒さん。あ、ついでに言うなら、後藤黒は最期自決したよね?崖から落ちて。縁起、悪っ!」
そう言い捨てて背を向け、そのまま手をヒラヒラと振ってやった。
角を曲がって、そこからソッと盗み見ると、目も口もポカーンと開いて立ち尽くす彼が見えた。
こみ上げてくる笑いを息を止めることで堪え、その場から走り去った。
そんな私の冷ややかな視線をもろともせず、いろいろ残念で、いろいろ可哀想な伊達さん改め伊藤正志(敬称略)はペラペラと自分の今について話し続け、満足したのか帰宅を提案した。
店を出ると、待っていたのは現代版後藤黒と言って譲らない、黒光りバイク。
そして、黒光りヘルメット。
明るい所でそれを見たのは初めてだ。
よく見れば、後頭部の辺りに何か筋が描かれている。
「これ、何?」
そう指を指すと「たてがみを描いてある」とのこと。
よく見れば、側面に、何やら耳らしき物も描いてある。
私は思いついたことを、親切に告げてやることにした。
「ヘルメット、馬の頭にしたの?ってことは、アンタも馬の一部じゃん」
キョトンとした彼の目が、数秒後、見開かれる。
気づいていなかったんだろうな。
伊達政宗を気取るなら、そのヘルメットは兜を模倣しなければいけないことに。
「じゃあね、後藤黒さん。あ、ついでに言うなら、後藤黒は最期自決したよね?崖から落ちて。縁起、悪っ!」
そう言い捨てて背を向け、そのまま手をヒラヒラと振ってやった。
角を曲がって、そこからソッと盗み見ると、目も口もポカーンと開いて立ち尽くす彼が見えた。
こみ上げてくる笑いを息を止めることで堪え、その場から走り去った。