政宗かぶれの正志くん
滞りなく終えたその合コン。


後に、眼鏡３人衆が日本一と名高い大学の４年生だったことを知り、だから晴香と雪乃が少しテンションが高めだったのかと納得した。


確実に「Ａ」から好意を寄せられていたであろう晴香は全くそれに気付かず、幹事を共にした「Ｂ」とまた別の面子をそれぞれ集めて合コンするらしい。


雪乃は「Ｃ」狙いにみえたけれど実は「Ａ」狙いだったらしく、「Ａ」に今アプローチをかけているそうだ。


そして、「Ａ」から毎晩電話がかかってくるのが面倒くさいと晴香は溜め息をつく。


見事な恋の一方通行。


そこに「Ｂ」と晴香も加われば、もっとドラマチックだなぁと思う。


他人事、万歳。


そういう話を聞くのは好きだ。


その一方通行に入りたいとは微塵も思わないけれど。


誰とも連絡先を交換していない私は、彼らにまた会うことはないだろう。


こうしてたまに晴香から若い恋の顛末でも聞ければ満足だ。


目の前で、「暇つぶし相手認定されちゃったんだよねー」とイチゴミルクを飲む晴香の鈍さと「Ａ」の必死さに笑いを噛み殺しつつ、そう考えていた。


そんな大学３年生、春。


ヤツが現れるまで、後５日…。

< 5 / 55 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop