政宗かぶれの正志くん
パニックになり、何とか私を泣きやまそうとする常連客の向こうの引き戸が「スパン」と大きな音がした。
「愛!無事か!!!」
そこには光輝を胸に抱き、前髪をちょんまげスタイルに縛った店長の奥さんが息を切らして立っていた。
眉毛も睫毛も忘れてきたらしく、いつものケバケバギラギラした感じはなく、首回りが伸びたTシャツと裾にミルクらしきものが零れたハーフパンツ。
どちらかといえばこちらが「無事か?」と聞きたくなる状態の彼女は、常連客を足蹴にしながら私の目の前にたどり着いた。
横目に見た店長の顔に安堵が浮かんでいる。
彼が彼女を呼んだのだろう。
「何か、急に涙が止まらなくなって・・・でも全然大丈夫」
そう笑いかける私の目からまた涙が零れる。
「・・・前から少し、いや、かなり気になっていたんだ。愛のこと。いい機会だ。今日はうちに泊まりな。」
彼女はそう言いながら私の背中を引き戸方面に蹴り飛ばした。
「痛い!!」
「あぁ、ごめん。光輝抱いてるから手が使えないんだわ。ほら、進め」
顎でクイっとしゃくられ店長を見ると、シッシッと猫を追い払うかのように手を払われた。
常連も「背中に痣が出来るから早く行け」と言う。
私の本日のバイトは強制終了となってしまったらしい。
「愛!無事か!!!」
そこには光輝を胸に抱き、前髪をちょんまげスタイルに縛った店長の奥さんが息を切らして立っていた。
眉毛も睫毛も忘れてきたらしく、いつものケバケバギラギラした感じはなく、首回りが伸びたTシャツと裾にミルクらしきものが零れたハーフパンツ。
どちらかといえばこちらが「無事か?」と聞きたくなる状態の彼女は、常連客を足蹴にしながら私の目の前にたどり着いた。
横目に見た店長の顔に安堵が浮かんでいる。
彼が彼女を呼んだのだろう。
「何か、急に涙が止まらなくなって・・・でも全然大丈夫」
そう笑いかける私の目からまた涙が零れる。
「・・・前から少し、いや、かなり気になっていたんだ。愛のこと。いい機会だ。今日はうちに泊まりな。」
彼女はそう言いながら私の背中を引き戸方面に蹴り飛ばした。
「痛い!!」
「あぁ、ごめん。光輝抱いてるから手が使えないんだわ。ほら、進め」
顎でクイっとしゃくられ店長を見ると、シッシッと猫を追い払うかのように手を払われた。
常連も「背中に痣が出来るから早く行け」と言う。
私の本日のバイトは強制終了となってしまったらしい。