君の涙は空へと還る
―18年前―
自動ドアの開く気配で榊 翔太は浅い眠りから引き戻された。A.M.1:00過ぎ。
「いらっしゃいませ―。」
深夜のコンビニのシフトはなんとなくかったるい。 つい居眠りをしてしまったようだ。
欠伸を噛みころしながら、スナック菓子の補充にでも行こうとカウンターから出ようとしたその時。「動くな!!金を出せ!」
真っ黒なキャップとサングラスにマスクという笑えない程オーソドックスな恰好の男が、翔太にナイフを突き出して言った。
異変に気づいた店長がバックスペースから飛び出して来たが、翔太と男とを交互に見ながら目をむいているだけで、行動を起こそうとはしない。 どうやら、援軍は期待できないらしい。
黒ずくめの男はジリジリしながら、翔太に向かって喚いた。「カウンターに戻れ。レジの中の金を全部渡すんだ!!」
溜め息が出そうになったが男の指示通りカウンターに戻り、レジを開ける。
男は焦って、現金を奪おうと身を乗り出した。 だが、次の刹那、男の体はのけぞり、仰向けのまま派手に陳列棚に倒れ込んだ。 翔太の右拳が男の顎を下から掬い上げた結果だ。
「…意外とあっけねーな…」
散らばった商品をひとつ拾い上げながら翔太はボヤいた。
自動ドアの開く気配で榊 翔太は浅い眠りから引き戻された。A.M.1:00過ぎ。
「いらっしゃいませ―。」
深夜のコンビニのシフトはなんとなくかったるい。 つい居眠りをしてしまったようだ。
欠伸を噛みころしながら、スナック菓子の補充にでも行こうとカウンターから出ようとしたその時。「動くな!!金を出せ!」
真っ黒なキャップとサングラスにマスクという笑えない程オーソドックスな恰好の男が、翔太にナイフを突き出して言った。
異変に気づいた店長がバックスペースから飛び出して来たが、翔太と男とを交互に見ながら目をむいているだけで、行動を起こそうとはしない。 どうやら、援軍は期待できないらしい。
黒ずくめの男はジリジリしながら、翔太に向かって喚いた。「カウンターに戻れ。レジの中の金を全部渡すんだ!!」
溜め息が出そうになったが男の指示通りカウンターに戻り、レジを開ける。
男は焦って、現金を奪おうと身を乗り出した。 だが、次の刹那、男の体はのけぞり、仰向けのまま派手に陳列棚に倒れ込んだ。 翔太の右拳が男の顎を下から掬い上げた結果だ。
「…意外とあっけねーな…」
散らばった商品をひとつ拾い上げながら翔太はボヤいた。