無題
それから数年、女の子はすくすくと成長していった。





たくさんの愛情を受け、明るく素直な女の子になった。












「ラティ。」

母親に呼ばれ、女の子は振り向いた。





「最近、悪い人がこの辺りにいるみたいだから、気をつけるのよ。もうそろそろ、魔法が発動してもおかしくないのだし。」






この世界では、個人差があるものの、だいたい5歳くらいで魔法が使えるようになる。

ただ、初めて魔法を使う時は非常危険で、時に自身の魔力に飲まれ、死んでしまうこともある。







故に、5歳になると子供たちはあまり外に出させては貰えなくなる。
ラティも例外では無い。








だが、今日は違う。5歳になったラティは、今日だけは外に出てもいいと母親に言われた。




その言葉に、ラティは無邪気に喜んだ。
この年の子どもは普通そうであろう。







「わかってるー。いってきます!」


ラティは外に駆け出した。
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