朧咲夜Another【短編・完】


「……俺って言うのもやめとけ。お前の見た目では余計に目立つ」


「はいはい。わたし、だっけ?」


「……似合わねえな」


「てめえでけしかけておいてそれかよ! あー、なんでこんな人に逆らえないんだろ……」

 
斎月はげんなりし出した。忙しい奴だな。


「それより、どうして急にこっち来る気になった? 両親はまだアメリカ(むこう)だろ?」


「あー、祖父母のところに世話になることにした。理由は、一応血縁上の兄貴がいるらしいことがわかったから、ちょっとどうにかしておこうかと、な」
 

血縁上の兄貴? 


斎月の返事に、流夜は無表情しか返さなかった。

< 13 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop