朧咲夜Another【短編・完】
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「ただいまー」
「おかえりなさいー」
玄関に父を迎えに出た咲桜は、ぎょっとした。
父、在義の向こう側に、昼間の男の子――神宮がいたのだ。
「えっ、なっ⁉」
「咲桜、流夜くんに助けてもらったんだって? お礼に夕飯食べて行きなって連れてきたよ」
「あ、そうなん……って、なんで父さんと神宮さんが一緒なの⁉」
「流夜くん、私のこと咲桜に言わなかったのか?」
「……むしろ在義さんの娘だと知りませんでした」
神宮は不機嫌そうな顔で答える。