朧咲夜Another【短編・完】


「ああ、言ってなかったかな? 咲桜。一人娘だよ。妻はもう亡くなってるから、家事ごととか全部やってくれててねえ」


「あ、改めまして、華取咲桜です。昼間は本当にありがとうございました。おばあさんも無事でした。……えーと、在義父さんのお知り合いだったんですか?」


「……一応、お世話になっている」
 

流夜はぶっきら棒に答える。


「咲桜、流夜くん。二人同い年だからね? あとね、咲桜。流夜くんは犯罪学者でね、私たちの協力者っていう言い方が合ってるかな。流夜くんの幼馴染の二人も一緒にね」


「が、学者さん……⁉ お、同い年、なんですよね……?」
 

咲桜は泡喰って流夜をまじまじと見遣る。


同い年でそんな人がいるものなのかー。


「……少し前に留学して、博士号取った。今は一応、桜庭高校の一年」


「へー、すごいですねー。あ、私は藤城の一年です。父がお世話になっています」
 

咲桜が頭を下げると、流夜は困ってしまったようだ。


「いや、世話になってるのはこっちだ。それに、同い年なら敬語とかいらないだろ」

< 15 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop