朧咲夜Another【短編・完】
「あ、そうです――そうだね。今日は本当にありがとうございました。ご飯、出来てるんでたくさん食べて行ってね」
「……ありがとう」
咲桜はなんだかほこほこした気持ちで、神宮を居間に案内する。
その間に、在義は着替えに部屋に向かった。
「なあ、本当に怪我とかなかったか?」
ダイニングテーブルまで神宮を連れて来て、咲桜はご飯と味噌汁をよそいにキッチンへ向かったところで声をかけられて振り返った。
「私? 大丈夫だよ。鞄、投げた直後に神宮さんが助けてくれたから、指一本触れられてないよ」
「そ、か……」
「うん。本当に助かりました」
「あと……」
「うん?」
「呼び方、流夜でいいから」