朧咲夜Another【短編・完】
「あ、確かに神宮さんではヘンか。同い年だしね。わかった、流夜くん」
「………」
要望通りに呼んだら、神宮――流夜が固まってしまった。あれ?
「流夜くん?」
「……あ、いや、なんでも……」
そっぽを向かれてしまった。
……いやだったかな? でも本人がそう呼ぶように言ったのだし……。
「あ、ねえねえ、桜庭だったら夜々さん知ってるかな?」
「ややさん?」
咲桜が盆にご飯やらの器を載せて歩くと、さっと流夜がそれを取ってくれた。
あれ、優しい? いや、最初っかた優しかったのだけど、どこかぶっきら棒な人だとは思っていた。
「朝間夜々子(あさま ややこ)さん。養護教諭じゃないかな」