朧咲夜Another【短編・完】
「ああ……朝間先生なら知ってるけど」
「うちのお隣なんだ。私のお母さん代わりみたいな人で、私的には父さんと――
「私の幼馴染みたいなものなんだよ。年は大分離れてるけどね。夜々ちゃん、学校ではどうしてる?」
あう、父さん来ちゃった。
咲桜としては、夜々子が本当のお母さんになったらいいなあ……と長年思っているのだけど。
「朝間先生……すみません、よく憶えてないです」
夜々さんを憶えてない? 咲桜は内心、小首を傾げた。
夜々子は小柄で、ふんわりとした可愛らしい印象で、ご近所さんで夜々子に気がある人は結構いるのだけど。
流夜のタイプではないのかな。
咲桜は、俄然可愛いと思っている。
「本当、事件にしか意識行ってないんだねえ、流夜くんは。成績とかは変わりないのか?」
「降渡(ふると)が留年したんで、一応三人並ぶ感じには変わりました」
「降渡くん、本当にやったのか……」
席に着いた在義が頭を抱えた。
ふるとくん、とは誰だろう。
「流夜くんのお友達?」