朧咲夜Another【短編・完】
「……流夜くん」
「わかってます……」
俯き気味に肯き合う在義と流夜。
何やら父と流夜の間では、それだけで会話が成立するらしい。羨ましい。
食事を終えて、帰ろうとする流夜を呼び止めた在義は、二階の書斎に行ってしまった。渡すものがあるとか。
「あの、今日は本当にありがとう」
「大したことなくてよかった。こちらこそ、ご馳走になってしまって」
「ううん。父さんが同僚の方とか連れてくるのしょっちゅうだから、大量作りは慣れてるから気にしないで」
在義が来るまで、流夜と玄関で話す。
「華取――」
「私も咲桜でいいよ?」
「……じゃあ、咲桜」
「うん?」
「また、咲桜のメシ食べたいって言ったら迷惑か?」