朧咲夜Another【短編・完】
2 願うのは
「あ、琉奏(るかな)―」
咲桜が建前の為に琉奏と一緒に帰ろうとしていたら、琉奏には来客がいたようだ。
校門の辺りで、手を振っている他校生が二人いた。……あれ? 桜庭の制服だ。
「雲居? 春芽も。どうした」
……え?
隣を歩く琉奏の返事に、咲桜は目を大きくした。今聞こえた名前って……。
咲桜たちが校門まで来ると、背の高い方――流夜よりも高い。ネクタイはせずにボタンをいくつか遊ばせている、野性的な容姿――が訊いていた。
「あのさ、ここに華取咲桜、って子、いる?」
え?
琉奏の視線が咲桜に向いた。