朧咲夜Another【短編・完】
琉奏が答えると、雲居――降渡と、春芽――吹雪、そろって驚いた顔をした。
「え、琉奏と付き合ってんの?」
素っ頓狂な声をあげたのは降渡の方だ。
咲桜はあっさりを答える。
「別に付き合ってませんよ。体面上は、私は琉奏の彼女ってことになってるけど」
「……どういうこと?」
吹雪が眉を寄せて訊いてくる。
「琉奏の女除けの口実ってことです」
「……それって言っちゃっていいの?」
「学内では承知されてるから。主に対他校のためにだし」
成績優秀で見た目も良い琉奏から頼まれて、咲桜は琉奏の偽彼女役をしている。
琉奏とは父である在義を通じて知り合いになったので、ただのクラスメイトよりも頼りやすかったのだろう。
「えー……それって咲桜はいいの? すきな人出来たら障害じゃない?」