朧咲夜Another【短編・完】


咲桜が説明すると、何故か琉奏が攻撃でも喰らったみたいに項垂れたけど、それどころじゃない咲桜だ。


流夜にそんな誤解情報与えたくない。


「学内ではニセ彼女って認知されてるから、気にしないで」


「……そうか」
 

しかし流夜の顔はどこか浮かない。


「咲桜! なんでこいつのこと殴らない」


「殴る理由ないから?」


「お、……俺がさっきみたいなことしたら――


「地面に沈めるに決まってんじゃん」


「………」
 

あっけらかんとした咲桜と、鬼気迫る琉奏。


降渡と吹雪が囁き合う。


「あー、琉奏は華取さんに本気なわけか」


「みたいだねえ。でも咲桜は――だよね」
 

咲桜に意識が傾いている琉奏は二人の声なんて聞いていなかったけど、流夜の耳には届いていた。


「……っ、つーか、なんでお前が咲桜のこと知ってんだよ。華取さん、お前らのことは言わねえって言ってたけど?」

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