朧咲夜Another【短編・完】
「……あ? それがどうしたよ」
「なら、俺が本物になる。それなら文句ないだろ」
「………」
琉奏、吹雪、降渡、そろって言葉が出なかった。
その間に、困惑仕切りの咲桜を連れ去ってしまう流夜。
握った手は離さずに。
「………え? ちょっと待て。おい、雲居? あいつ、何語喋ってるんだ?」
咲桜の背中も見えなくなった頃、やっと琉奏がそう口を動かせた。
「日本語なんだろうけど、いやあ、ガチかあ」
「あれって告白になるのかな?」
降渡も吹雪も、流夜の言動が信じられないでいた。
あの、人間を標本(サンプル)としてしか見ていない流夜が?