朧咲夜Another【短編・完】
「い、いいえ! 私もあなたに助けられた側です! お礼をさせてください!」
威嚇はしたものの、勝算があるとは言えなかった。
彼が現れてくれなかったらどうなっていたか――考えるのも恐ろしい。
「今、警察が来る。事情の説明は任せていいか?」
「あ、はい、もちろん。えと……あなたは?」
「他に用事があって行かなくちゃならない。取りあえず、こいつらはすぐには意識は戻さないが――」
そう言われても、この無人駅の近くに民家はないし、男たちを捕縛しておくための……たとえばロープなんかもないわけだ。
咲桜の表情が不安を浮かべてしまったからか、彼は口を開いた。
「警察が来るまでは、いる」