先輩、一億円で私と付き合って下さい!

 夏休みの始まりもカウントダウンになって来た頃、休み中、受験勉強をどうするのかという話が耳に入ってくる。

 予備校の夏期講習を受ける奴がちらほらといる。
 オープンキャンパスに足を運んで、受験勉強のモチベーションを高めるという奴もいる。

 皆、それぞれの進路を真面目に考えていた。
 6月に父と会った事が転機となって、俺も大学受験する意向を担任に伝えた。
 俺は自分の意思でそう決めた。

 期末テストもいい結果を残せたので、後は自分の頑張り、運次第の受験戦争が始まる。
 だがまだ医者を目指すべきか悩んでいる。

 一応そのつもりで受験勉強をしろとは担任に言われたが、本人が迷ってるうちはこのままでは医学部に合格するなどとうてい無理だろう。

 かといって、大学で何を勉強したいか、具体的に決まってないので一層悩んでしまう。

 ノゾミは軽々しく、医者になれといってくれるが、その陰に父の姿とセイがちらつき、素直にめざせないモヤモヤを感じる。

 広崎家には負けたくないと思いつつも、そこで競争心を持って勉強する虚しさも嫌だった。
 やっぱり、こういう時はノゾミに会いたくなってくる。

 誕生日のプレゼントも用意ができてるし、渡せるその日が楽しみでたまらない。
 その時まで告白するのを取っておくのもヤキモキする。

 ノゾミから、付き合い終わり宣言を食らった後では、今俺は友達扱いなのだろうか。
 そんな事関係なしに、放課後俺はノゾミに会いに行った。

 するとまた休みだと言われ、もしかして、また旅行なのかと疑ってしまう。
 どうしようかと悩みつつ、やっぱり家に訪ねる事にした。
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