先輩、一億円で私と付き合って下さい!
「一億円が手に入った時、天見先輩は何をしますか?」

「何をするって、そんな大金すぐに使える訳でもないだろう。それよりも手にした時、税金は払うのか」

「そんな心配は一切ありません。だからその時、先輩は何に使いたいですか」
「一億円の使い道を急に訊かれてもな」

「先輩、どうしてそこで、欲しいものを買うとか、夢のために使うって言えないんですか?」
「欲しいもの? 夢?」

「先輩にも将来の夢とか何かに使いたいっていう願望があるでしょう。私はそれに使ってほしいんです」

「なんで使い方を指図されないといけないんだよ」

「先輩の夢を訊きたいからです」

「俺の夢? 別にこれといって…… それよりも話をはぐらかすなよ。お前こそ、一体俺と期限を設けて付き合って何がしたいんだよ」

「私は、先輩を幸せにしたいです」
「はぁ? 幸せにしたい?」

「はい。この先、先輩が幸せな人生を送られるように」
「おい、お前は俺を幸せにするために、一億円で俺と付き合ったってことなのか?」

「それは三番目の理由で、後から思った事です」
「えっ、三番? それじゃ一番と二番の理由は何だよ?」

 真剣に俺に告白してきたあの時のノゾミの気迫は本物だった。

 そこに二つの理由が含まれている──?
 一体それはなんだ?

 それほどまでにノゾミを駆り立てたものが知りたくなって、俺はノゾミから目が離せなかった。
 また俺はノゾミのペースにすっかり巻き込まれていた。
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