先輩、一億円で私と付き合って下さい!
「中間テストか。そんなに時間もないな」
「もうすぐゴールデンウィークですよね。よかったらその時に集中して勉強の仕方のコツだけでも教えて欲しいそうです」

「ゴールデンウィーク?」
「はい、場所はセイ君の家で、天見先輩が時給を提示すればその通り払うとも言ってました」

「金なんて別にいいよ」
「それはセイ君と話合って下さい。ついでに私も一緒に行きます。私もお手伝いします。先輩もご自身の勉強道具持ってきて勉強して下さっていいそうです」

「ということは皆で勉強するってことか。別にいいけど」
「昼食も出すって言ってました。食べたい物、好きなものがあれば事前にリクエストしてほしいそうです」

「見かけによらず結構気を遣う奴だな」
「セイ君は本当はとてもいい子なんです。今一生懸命前を向いて頑張ろうって思っていて」

「俺もそれはわかるよ。俺に似た部分もあるし、親近感湧いて、あいつ憎めないよな」
「はい、そうです」

 ノゾミの顔は晴れやかだった。

 集中講座のように、セイとの勉強は4月29日の昭和の日から始まる事になった。
 カレンダー通りの休みの日を中心に朝から夕方まで、それは5月7日の日曜日まで続くこととなった。

 受け入れた以上最後までやるつもりでいるが、ノゾミと一緒にセイの家に行けば、それはそれで、また俺は複雑な感情が湧き起こった。
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