ひだまりのようなその形に幸福論と名前をつけたなら
(9月中旬 日曜日)
9月とは言ってもまだ暑い。
外で何かをするにはあまりにも気温が高いので、この日は誘拐犯さんの要望で扇風機の風が行き渡る室内で読書をすることになった。
私的には優先すべきは食欲の秋なのだが、読書に興味がないわけでもないので承諾した。
誘拐犯さんは本を読むことが好きらしく、確かに室内の本棚は色々な本で一杯だった。
「読書かぁ…読む本…」
実際移動時間などは読書をすることもあるが、生憎借りていた本は読み終わってしまいちょうど読む本がなかった。
誘拐犯さんは既に本を読み始めてしまったので、話しかけても無駄である。
ということで本棚を探索していると、1冊の本を見つけた。
それは日本人なら一度は聞いた事がある第文豪が書いた本だった。
「へぇ…誘拐犯さん、こういうのも読むのか」
私も名前は当然のように知っているものの話は読んだことはなく、いい機会だし読んでみようと本を取り出し誘拐犯さんの隣に寝っ転がった。
本というのは読んでみると面白く、いつの間にか時間が経ってしまっているものである。
特に一度始めると入り込みやすい私は時間が経つのも忘れて読みふけっていた。
「…おーい、聞いてる?」
誘拐犯さんが私の手元を覗き込んでいることに気が付くのも時間がかかるほどである。
耳元で呼ばれてはっと頭を上げると近い距離に誘拐犯さんの顔があり、思わずたじろいてしまった。しかし当の本人は気にする様子なく本を指差した。
9月とは言ってもまだ暑い。
外で何かをするにはあまりにも気温が高いので、この日は誘拐犯さんの要望で扇風機の風が行き渡る室内で読書をすることになった。
私的には優先すべきは食欲の秋なのだが、読書に興味がないわけでもないので承諾した。
誘拐犯さんは本を読むことが好きらしく、確かに室内の本棚は色々な本で一杯だった。
「読書かぁ…読む本…」
実際移動時間などは読書をすることもあるが、生憎借りていた本は読み終わってしまいちょうど読む本がなかった。
誘拐犯さんは既に本を読み始めてしまったので、話しかけても無駄である。
ということで本棚を探索していると、1冊の本を見つけた。
それは日本人なら一度は聞いた事がある第文豪が書いた本だった。
「へぇ…誘拐犯さん、こういうのも読むのか」
私も名前は当然のように知っているものの話は読んだことはなく、いい機会だし読んでみようと本を取り出し誘拐犯さんの隣に寝っ転がった。
本というのは読んでみると面白く、いつの間にか時間が経ってしまっているものである。
特に一度始めると入り込みやすい私は時間が経つのも忘れて読みふけっていた。
「…おーい、聞いてる?」
誘拐犯さんが私の手元を覗き込んでいることに気が付くのも時間がかかるほどである。
耳元で呼ばれてはっと頭を上げると近い距離に誘拐犯さんの顔があり、思わずたじろいてしまった。しかし当の本人は気にする様子なく本を指差した。