ひだまりのようなその形に幸福論と名前をつけたなら
「……ねぇ、」


いつまで一緒にいられる?
そう問おうとして、すんでのところで留めた。
この問いは、いつかの日にもしたことがあった。
返ってくる答えは分かっているしきっと変わらないし、自分で考えてみてもその答え意外見つからなかった。


「…何でもない」

「そう?」

「うん。何でもないよ!」


心配そうに顔を覗き込んでくる誘拐犯さんを困らせてしまうわけにはいかなかった。


「ねぇねぇ、その本面白いー?」

「面白いよ」

「じゃあ今度貸して」

「君にはちょっと難しいかもなー」

「え、馬鹿にしてるの?」


何よりも、今この時間が愛しい。
だから壊したくなかった。

< 108 / 108 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop