ひだまりのようなその形に幸福論と名前をつけたなら
この日を境に、私たちの生活に新たなルールが加わった。
それは、日曜日は私が望んだことをするということ。
幸せに慣れるためだなんてどんなリハビリだと思ったけれど、誘拐犯さんと一緒に過ごす日曜日はただ純粋に幸せで、そのルールに異存はなかった。

その幸せの対価のように襲ってくる喪失感にも、この部屋でなら、この人の隣でなら、耐えられる気がした。


学校に行くことは憂鬱ではあったけど、その日曜日があると思えば何とか頑張れたのも事実だった。
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