ひだまりのようなその形に幸福論と名前をつけたなら
*
終業式当日。
いつもより早く帰れるということで、私は普段ほど気を落とすことなく登校した。
ハブられているとか、いじめられているということは無いので、教室の扉を開ければ適当に挨拶を交わしながら席に着く。
通常ならば、ここで話しかけて来る人など特にいないので、ぼんやりと外を眺めながら過ごすのだが。
しかし、今日は少し違った。
「おはよう、今日いい天気だね!」
とてもよく通る、綺麗に澄んだ声だった。
当然私に話しかけたわけではないだろうと、いつも通りに窓の外を眺めていれば、とんとんと軽く肩を叩かれた。
ぎょっとして振り向けば、前髪を分けたショートカットの女の子が白い歯を見せて気さくな笑みを浮かべている。
深くクラスメイトと関わることがないし、基本一人スタイルだったので、当然のことながらクラスメイトの名前も覚えておらず彼女の顔を凝視したまま暫く考え込んでしまう。
「ああ、えっと…タカナシさん?」
「そう!名前知っててくれたんだ、嬉しい」
どうにか顔と名前を一致させて口に出せば、彼女は嬉しそうに笑った。彼女の声は、さっき聞いた綺麗な声と一緒で、あれは私にかけた言葉だったのかと漸く気が付く。
彼女の言葉を思い出して窓の外を見やると、空は灰色の雲で覆われ、少しもいい天気などでは無かった。
しかし、それはともかく、一度も話したことのない私に一体何の用事があるというのだろう。
終業式当日。
いつもより早く帰れるということで、私は普段ほど気を落とすことなく登校した。
ハブられているとか、いじめられているということは無いので、教室の扉を開ければ適当に挨拶を交わしながら席に着く。
通常ならば、ここで話しかけて来る人など特にいないので、ぼんやりと外を眺めながら過ごすのだが。
しかし、今日は少し違った。
「おはよう、今日いい天気だね!」
とてもよく通る、綺麗に澄んだ声だった。
当然私に話しかけたわけではないだろうと、いつも通りに窓の外を眺めていれば、とんとんと軽く肩を叩かれた。
ぎょっとして振り向けば、前髪を分けたショートカットの女の子が白い歯を見せて気さくな笑みを浮かべている。
深くクラスメイトと関わることがないし、基本一人スタイルだったので、当然のことながらクラスメイトの名前も覚えておらず彼女の顔を凝視したまま暫く考え込んでしまう。
「ああ、えっと…タカナシさん?」
「そう!名前知っててくれたんだ、嬉しい」
どうにか顔と名前を一致させて口に出せば、彼女は嬉しそうに笑った。彼女の声は、さっき聞いた綺麗な声と一緒で、あれは私にかけた言葉だったのかと漸く気が付く。
彼女の言葉を思い出して窓の外を見やると、空は灰色の雲で覆われ、少しもいい天気などでは無かった。
しかし、それはともかく、一度も話したことのない私に一体何の用事があるというのだろう。