きみはシャボン玉。
6時半。となりまちの有名な河の橋で。
少し早く着いてしまったようだ。
シズクは、まだかな。



「光希っ、ごめん、はやいね!」

「いや、シズクも、まだ約束の時間なってないよ。」

「楽しみでさ!花火!」

……花火かよ。
まあ、いい。楽しみに今日を思ってくれていたなら。
シズクは水色の浴衣に白い花が大柄に描かれたシズクらしい綺麗で儚げな浴衣を着ていた。
僕のために着たのかな、とか。
浴衣で電車大変じゃなかったかな、とか、思ったけど、それすら嬉しくて。


「…じゃあ、行こうか。」

「うん!」

シズクは相変わらず、相変わらずだ。

「光希なんか痩せた?夏バテ?」

「んー、確かにあんまり食べてないかも。」

「じゃあ、今日はいっぱい食べなきゃね!
あ、そういえばさ、あの……」

久しぶりに会ったせいかシズクはいつも以上にたくさん話した。
僕も会ってなかったぶん、たくさん話した。
でも、このあとに待ってる告白のおかげで半分は上の空だった。

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