きみはシャボン玉。
「う、うん。もちろん。てゆうか、僕の一番好きな小説家さんだよ。」

「…でもこの人の作品、なんだかさみしくて、悲しくて。愛が足りない人なんじゃないかなって思う。」

「それは違うんじゃないかな。この人の作品は確かに切なくて、悲しげだけど、主人公がとても魅力的だし、読んでくうちに愛とか、価値とかを読者に見つけさせるような。そして作者自信が愛を追ってるような気がする。とても、素晴らしい人だよ。誰よりも愛を解ろうと………」

あ、やってしまった。
月島ミノルのよさを語るあまり彼女につまらない話をしてしまっている。
月島ミノルは好き嫌いがはっきり別れる作品が多いし、彼女はそこまで月島ミノルが好きではないのかもしれないし。

なにより、こんな熱量で語られたらひくだろう。
話題をふったのは彼女だが、こんなに必死で返されるとは思ってなかっただろう。

「あ、ごめん。分からない、よね。つい夢中に話しすぎて。」

そう言うと、彼女はクスッと笑って、

「うん。でも、月島ミノルあたしも好きだから、語れる人がいてくれてよかった。」

「そうなの?ああ、よかった。僕もはじめてだ。月島ミノル好きの女の子は。」

「あたし、月島シズクって名前なの。名字が一緒でしょ?だからつい気になって読んでたらすごくハマっちゃって。」

「え、月島シズク…。もしかして3年2組の?」



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