素顔のまんま《短編》
そしたらね、


「君が好きだよ」


そう囁いてくれる人がいた。



「憧れていたあなたのようだ」と私に微笑んでくれる人がいた。




私があなたを見つめるように

私も誰かに見つめられ想われているんだね。



その時から、私はただ見つめるのを止めました。



もう私はあなたのようになりたいとは言いません。


私はあなたではないから。


そして


私には私の役目があると知ったから。



それは


雲があなたを遮ったって

私を通してあなたを感じて貰えるように。



晴れた日は掌を伸ばして

おもいっきり笑顔になれるように。



私はいつでも
この命ある限り
あなたに向かって
おもいっきり背筋を伸ばしていこうと思います。


いつ、どんな時も
強く、逞しい温かな光を感じて貰えるように。


それが私の精一杯生きた証。


………
< 25 / 35 >

この作品をシェア

pagetop