鬼神となりて
新たな時代と出合い
幕末。
多くの闇が潜んだ時代。
暗殺など当たり前。
常に周りを伺い、疑い、警戒し、神経を研ぎ澄ましていた。
今、日本ではその暗黒の幕末時代が、次の時代へと移り変わり始めている。
そして、そんな嘘偽りが覆っている中、京でひとつの噂が流れ始める。
《鬼が出た》____と。
瞬く間にその噂は広がり、日本中で囁かれるようになった。
鬼を見た者は言った。
紅い瞳に、燃えるような紅い髪、尖った八重歯、鋭い爪。
まさにあれは、鬼だと。
慶応四年、一月三日。
まさに今、新たな時代が産声をあげる。
鳥羽伏見の戦い、もとい戊辰戦争の緒戦となった戦いは、新政府軍の勝利として終わった。
新たな時代の名は、明治と言うらしい。
負傷者の多い中、新政府軍は雄叫びをあげる。
「新しい時代だ!」「終わったんだ!」
歓喜溢れる言葉が飛び交う。
そうして、新しい時代が生まれ、新たな物が生まれ、新たな命が生まれていくのだ。
時は流れ、平和な時代が当たり前になってきた頃。
再び、時代の闇が動き出す。