バックハグは恋の始まり!?
すると彼はがっくりと肩を落とし座り込んでしまう。
「やっぱり気づかれてなかったか・・・。
四六時中、側にいるなぁとか不思議じゃなかったわけ?」
と上目遣いで聞かれれば、「それは私がよく一緒にいる同期たちとたまたま仲良くなってたからでしょ?」と返すしかない。
「それはそうだけど、同期としてでも側にいたかったからだよ。
あー、こんな恥ずかしいこと言いたくなかったのに。」
と彼は頬をほんのりと赤く染めながら、衝撃の事実を口にする。
驚きの真実を明かされた私は何も言うことが出来ない。
柴崎くんはいつから私のことが好きだったのかなと疑問に思ったが、今聞く勇気はなくて、呆然と彼を見下ろしてしまっていた。
耳をほんのり赤く染めながら、彼は立ち上がり再び私の目を見つめる。
「花奈にとっての俺って、まだ同期のひとりだろ?
それに好印象を持たれてるわけでもない・・・」
と自分自身に問うように彼は呟くと、
「俺、このまま同期のままでいるつもりないから。
これからは好きになってもらえるようにグイグイ攻めるつもりだか。
月曜日からは覚悟しといて!」
とカッコよすぎる宣言をして、ゆっくりと歩き出した。
放心状態だった私は柴崎くんが数歩先で待ってくれていることに気づいて慌てて彼の元に駆け寄った。
2人で駅まで歩いていても私は衝撃の事実を知ったせいで、心ここに在らずだった。
でも隣で柴崎くんは本当はずっと名前で呼びたかったとか、
誤解が解けて本当に良かったとか、終始嬉しそうな様子だった。
遂には会社でも名前で呼びたいと言い出して、さすがに周囲の目が怖かったので全力で遠慮してもらった。
私に告白したことが引き金になったのか、こんな柴崎くんは知らないと言いたくなるほど気持ちを素直に伝えてきて、私はもうどうしたらいいのか分からなかった。
だから、覚悟しといて!と言われた来週からが不安で仕方なかった。