バックハグは恋の始まり!?
恥ずかしくて柴崎くんを振り返れないでいると、後ろから彼の声が聞こえた。
「俺ってそんなに細く見える?」と尋ねられ、
思わず「見えるよ・・・」と不満げにつぶやいてしまう。
すると彼は「それは喜んでいいのか分かんないわ。 でも藤本より細く思われてるのは心外だな。」とひとり言のように呟いた。
てか、男の俺が藤本より細いわけないだろ。
彼は「ちょっとこっち向いて。 俺の背中に腕まわしてみてよ。」と言い、私を振り向かせた。
彼が私の手をとって、自分自身を抱きしめさせるように誘導する。
そして、私は彼にされるがまま、彼の背中に腕をまわしてみる。
いつの間にか私の背中に腕をまわした彼が「俺の方ががっしりしてるの分かってくれた?」と優しく尋ねてきた。
私が柴崎くんの腕の中で控えめにうなずくと、頭上からはため息が聞こえてきた。
「はぁー、俺さ、なんで嫌われてるか分かんなかったんだけど、もしかしてこれが理由?
男の俺が藤元より、細いわけなんてないのに・・・」と柴崎くんが不満そうに尋ねてくる。
「別に嫌ってたわけじゃないよ。
でも柴崎くんのことが気にくわなかったのは本当です・・・。」
酔いが覚め、冷静になった今、本人に向けては言いづらいから、つい敬語になってしまった。
俯いたまま、ぼそびそと正直な想いを伝えた。
すると突然、柴崎くんの腕から解放された。
なんだろうと思い、柴崎くんを見上げると至近距離で私のことを真剣に見つめる彼の瞳と目が合った。
彼が瞳に真剣な光を宿しているのはは見たことがなくて、なんだか緊張してしまう。
そんな私の緊張が伝わったのかわからないが、彼は緊張した面持ちで私は柴崎くんから目を逸らすことが出来ないでいると・・・
「俺、花奈のことがすきだよ。
嫌われてると思ってずっと言えなかったけど、俺と付き合ってほしい。」
と彼は真剣な声音で言葉を紡いだ。
突然の告白で驚きのあまり、私は言葉が出てこず、再び固まってしまった。
でも、柴崎くんに名前で呼ばれたことでほんのりと頬が色付いていくのを感じた。