カエちゃんのママ
春の陽気が、私の頭をおかしくしているのか、一瞬時間が止まったような感覚に陥った。
しゃがみこみ、慌てて辺りを見回すが親らしき人物はいなくて女の子にもう一度、「ママは?」と、聞く。
「カエのママ!」
大きな声で、再びこちらを指差す女の子。
周りの視線が痛い。そりゃそうだ。紺のブレザー、緑のチェックのミニスカート、黒のハイソックス。茶色のしっかりと巻かれた長い髪。
私は、誰がどう見てもただの女子高生なのだから。