カエちゃんのママ



「カエ!勝手に行っちゃダメだろ!パパが風船を取ってる間、ここで待ってるようにってあれだけ言ったのに。」


そういい、安心した様な表情をして女の子を抱きしめる。



そこはすっかり二人の世界で、私はこっそりその場を去ろうと振り返ったその時、

「待って下さい!」

と、後ろから声をかけられた。



「あの、ありがとうございました。」



その人は桜の花びらまみれの頭を深く下げて、もう一度こちらを見て笑った。




< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop