桜ヶ丘物語
「てか、さっきの電話なんだよ!なんでお前が鈴音と仲良さげに話してんだ!!」

「そ、そうだそうだ!」と茶々を入れてきた三谷は俺も聡も無視。
コイツが会話に混ざるとややこしくなる気がするから。

「なんだ、そんなことか」

本当にどうでもいいって表情を作る聡に少しムッとしたのはここだけの秘密。


「斉藤さんは愛美の友達だから面識があるんだよ」


言われて思い出したのは、のほほんとほほ笑むマナミちゃんのこと。

どこでどう知り合ったのか知らないが、純真無垢という表現が似合うマナミちゃんと大魔王こと柚月聡はかれこれ1年半近く付き合っている。

こんな腹黒い奴と付き合っているマナミちゃんが可哀そうで仕方ない、と前に本人の前で漏らしたとき「遊馬はまだまだ人を見る目が備わってないね」とバカにされたのは今でも覚えている腹立たしい出来事の一つだ。



.
< 113 / 135 >

この作品をシェア

pagetop