桜ヶ丘物語

机を蹴り飛ばして、三谷につかみ掛かろうとしたまさにその時、


「はい。ストップ。」


抑揚のない声が辺りに響き、
それと同時に俺はその声の持ち主に背中を引っ張られ、危うくケツを打ち付ける所だった。



「なっ、危ねぇだろ!」



批難の声をあげるのに1秒。
後ろを振り返るのに2秒。
相手を認識するのに0.5秒。


直ぐさま逃げようとした俺。

そんな俺に伸ばされた腕。

跳ね上がる脈拍。




涼しい顔して綺麗に微笑む

「悪魔」。





.
< 25 / 135 >

この作品をシェア

pagetop