桜ヶ丘物語
机を蹴り飛ばして、三谷につかみ掛かろうとしたまさにその時、
「はい。ストップ。」
抑揚のない声が辺りに響き、
それと同時に俺はその声の持ち主に背中を引っ張られ、危うくケツを打ち付ける所だった。
「なっ、危ねぇだろ!」
批難の声をあげるのに1秒。
後ろを振り返るのに2秒。
相手を認識するのに0.5秒。
直ぐさま逃げようとした俺。
そんな俺に伸ばされた腕。
跳ね上がる脈拍。
涼しい顔して綺麗に微笑む
「悪魔」。
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