桜ヶ丘物語
ニコニコと微笑みは絶やさないものの、逆にその笑顔が不気味だった。
胸倉を掴んで罵ってくれた方がまだマシ。
「あー…、えっと、わりぃ…」
「んー?」
「ごめっ」
「なぁにー?」
「すいませんでした!」
そのまま勢いよく頭を下げた俺。
この返事に満足したのか、聡はやっと視線を俺から三谷に移した。
(マジで殺られるかと思った…)
いつもニコニコして何考えてんのか分からないコイツが、俺は1番怖い。
だって俺は知っている。
笑顔の下にある聡の凶悪邪悪最悪の顔を…!
アンタの回りにも、そういう奴がいないか?
常に笑顔を張り付けて、いかにも‘善良’って感じの奴が。
もしいるなら気をつけろ?
そいつは、人間の皮を被った「悪魔」かもしれないからなっ!!
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