桜ヶ丘物語
「おーい、さいとー。聞いてるか?」


どんな表情をしてたっけ…?

思い出そうと頭を働かす私をぼーっとしてる、とでも勘違いしたのか、先生はひらひらと私の目の前で手を振ってみせた。

そんな些細な動きが、今の私には正直欝陶しい。

「聞いてます。さっさと話を続けて下さい」

「お、おう…」


一瞬「傷付いた」という顔をしたけれど、そんなの無視だ。


「そんで、さ。昨日来た奴。あぁいうのが上位層。でもって、これからお前の元に来るのはそういうヤバイ奴ら」

「ヤバイ…?」


昨日の人と今までの人達との違いが全く分からない。

どの人もチャラチャラと軽そうで、皆似たり寄ったりだったから。


「先生…。ヤバイ人とそうじゃない人の違いって何ですか?それに、どうやって見分けるんですか?」



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